特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術
■腹腔鏡下根治的腎摘除術
034 横隔膜を損傷して換気不良となった
田村 高越
1
,
宮嶋 哲
1
Koetsu Tamura
1
,
Akira Miyajima
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科
pp.102-104
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102280
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Q 上極の腎腫瘍に対して腹腔鏡下根治的腎摘除術を開始した症例。横隔膜に電気メスが接触していたようで,手術の途中から換気不良となった。肺自体には損傷はないようだ(損傷の確認と修復はどのように行うか)。
[1]概 説
横隔膜損傷は腹腔鏡下腎摘除術の合併症としては比較的稀であるが,時に重症化する可能性があり注意が必要である。腹腔鏡下手術時の横隔膜損傷では,気腹ガスが損傷部を経て胸腔内に入るために胸腔内の陰圧が失われ,肺の虚脱が起こりやすい。このため開腹手術での損傷の場合よりも換気不良を起こしやすい。特に微小な横隔膜損傷の場合,これに気づかないまま手術を続けると換気不良をきたし重症化することもあり得る。このため横隔膜損傷の早期発見と修復が重要である。
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