FOCUS
dMMR固形がんに対するprecision medicine
三島 沙織
1
,
吉野 孝之
1
Saori MISHIMA
1
1国立がん研究センター東病院消化管内科
pp.868-872
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212538
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はじめに
近年,がん治療においてマイクロサテライト不安定性症例(microsatellite instability high:MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機能欠損(mismatch repair deficiency:dMMR)症例に対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性が多数報告されている.米国食品医薬品局(FDA)は,ペムブロリズマブの5つの臨床試験〔KEYNOTE-016試験,KEYNOTE-164試験(コホートA),KEYNOTE-012試験,KEYNOTE-028試験,KEYNOTE-158試験〕のうち,がん化学療法後に増悪した進行・再発のdMMR固形がん患者149名の統合解析結果をもって,2017年5月23日に大腸がんを含む標準治療抵抗性もしくは標準治療のないdMMR固形がんに対してペムブロリズマブを承認した.本邦では,アップデートされたKEYNOTE-164試験(コホートA),KEYNOTE-158試験の結果が用いられ,2018年12月21日に承認された.臓器横断的に承認された国内初の薬剤である.本稿では,消化器がんを中心に,MSI statusとそれに基づく治療戦略開発の現状および,今後の方向性について概説する.
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