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連載 医療システムの質・効率・公正――医療経済学の新たな展開・Vol.2
社会的処方の期待と課題:医療経済学の観点を中心に
Potential benefits and challenges to implementation of social prescribing:from a perspective of health economics
西岡 大輔
1
Daisuke NISHIOKA
1
1大阪医科薬科大学医学研究支援センター医療統計室
キーワード:
社会的処方
,
健康の社会的決定要因
Keyword:
社会的処方
,
健康の社会的決定要因
pp.1090-1094
発行日 2023年6月17日
Published Date 2023/6/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu285121090
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Summary
貧困や孤立は健康に影響を及ぼす社会的要因(SDH)として広く知られている.近年,医療機関が社会福祉専門職などと連携して患者のSDHに対応する “社会的処方” が紹介されている.“社会的処方” には,医療サービスの消費者である患者の利益(精神衛生尺度の改善やHbA1c値の改善など)と,医療サービスの生産者である医療機関の利益(住民の救急受診回数の減少や直接医療費の減少など)が報告されている.一方で,報告された研究からは “社会的処方” の効果に関する頑健なエビデンスはいまだ十分とはいえない.“社会的処方” による患者の利益に関する頑健な効果検証に加え,“社会的処方” にかかる全体の費用と費用あたりの住民の健康やwell-beingへの効果を考慮した費用対効果分析が求められる.“社会的処方” に関する議論には,医学や経済学だけでなく,社会福祉学や人類学などといった学問との議論も重要となる.
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