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特集 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)研究における最新知見――感染経路,病態,予防,治療
B細胞感染によるSFTSウイルスの発病機構
Pathogenesis of severe fever with thrombocytopenia syndrome(SFTS)virus via B-cell infection
宮本 翔
1
,
鈴木 忠樹
1
Sho MIYAMOTO
1
,
Tadaki SUZUKI
1
1国立感染症研究所感染病理部
キーワード:
ウイルス性出血熱
,
B細胞
,
形質芽球
,
抗体
Keyword:
ウイルス性出血熱
,
B細胞
,
形質芽球
,
抗体
pp.121-124
発行日 2023年1月14日
Published Date 2023/1/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28402121
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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は,血液・血管系の障害に伴う多様な臓器障害をもたらすウイルス性出血熱のひとつとされる.ウイルス性出血熱では,病原体によらず臨床病態の類似性がみられる一方で,その発病機構は病原体により異なる.その発病機構の解明のため,筆者らはSFTS患者の病理学的解析を行い,大型異型リンパ球の壊死性リンパ節炎やリンパ組織での血球貪食像というウイルス出血熱のなかでもユニークな病理所見があることを報告した1).さらに,リンパ組織と非リンパ組織の両方で検出されたSFTSウイルス抗原はIgGを発現するB細胞に局在し,B細胞から形質細胞へと分化する過程の形質芽球がウイルス感染標的細胞のひとつであることがわかってきた2).この形質芽球は急性期SFTS患者の末梢血でも検出されており3),末梢血細胞へのin vitro感染においてもこの形質芽球様の活性化B細胞が誘導されることを明らかにした4).これらの成果から,SFTSは多くのウイルス性出血熱における単球系細胞を中心とした発病機構とは異なる,B細胞を主軸とした発病・重症化機構を持つ可能性があることがわかった.本稿ではそれらの成果と今後の課題について,最新の知見を踏まえて紹介する.
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