Japanese
English
特集 IgA腎症のすべて―最新の診断法と治療
病因論
IgA腎症におけるメサンギウム領域特異的なIgA抗体沈着機序―抗メサンギウムIgA抗体の発見
Mechanism of mesangium-specific IgA antibody deposition in IgA nephropathy―discovery of anti-mesangium IgA antibodies
二瓶 義人
1
NIHEI Yoshihito
1
1順天堂大学腎臓内科
キーワード:
IgA腎症
,
Gd-IgA1
,
抗メサンギウムIgA抗体
,
抗β2スペクトリンIgA抗体
,
抗CBX3 IgA抗体
Keyword:
IgA腎症
,
Gd-IgA1
,
抗メサンギウムIgA抗体
,
抗β2スペクトリンIgA抗体
,
抗CBX3 IgA抗体
pp.163-167
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001986
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はじめに
IgA腎症において,腎臓に沈着するIgAは,そのヒンジ部O結合型糖鎖にガラクトースを欠損するgalactose-deficient IgA1(Gd-IgA1)であることが知られている。Gd-IgA1は,同分子に対するIgA/IgG抗体と高分子の免疫複合体を形成することで腎糸球体に沈着し,補体活性化を伴う炎症を惹起すると考えられている(multi-hit病態仮説)1)。しかし,この病態仮説において,なぜ免疫複合体がメサンギウム領域“選択的”に沈着するのか,が長年明らかになっていなかった。筆者らは,近年この機序について改めて検証し,本症における部位特異的な抗体沈着の原因となる抗メサンギウムIgA抗体がIgA腎症患者の血清に存在することを報告した。本稿では,この抗体について,これまでに明らかにしてきた筆者らの知見について概説する。

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