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TOPICS 神経内科学
パーキンソン病の認知機能障害は鼻から?
-――レビー小体病における嗅覚系伝播経路と病態
Cognitive dysfunction in Parkinson’s disease from the nose?
澤村 正典
1
,
髙橋 良輔
1
Masanori SAWAMURA
1
,
Ryosuke TAKAHASHI
1
1京都大学医学部附属病院脳神経内科
pp.756-758
発行日 2023年5月20日
Published Date 2023/5/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28508756
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レビー小体の嗅覚系伝播経路と消化管-迷走神経系伝播経路
パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)は運動症状を主体とする神経変性疾患であり,黒質のドパミン細胞の減少とαシヌクレイン(α-Syn)凝集体を主要な構成成分とするレビー小体を病理学的特徴とする.PDは進行期になると認知症を高率で合併し,PD with dementia(PDD)へと進展する.また早期より認知機能障害が前景に立つ病態もあり,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)とよばれる.いずれも病理学的背景としてレビー小体が共通して出現することから,包括してレビー小体病と称される.2003年にBraakらが,レビー小体病理は脳内で嗅球あるいは迷走神経背側核に最初期病変を生じ,連続的に進展するという仮説を提唱した1).さらに何らかの向神経性の病原体が,鼻粘膜と腸管上皮から脳内に侵入することがPDの病因とするdual-hit hypothesisを提唱した2).その後,α-Syn凝集体を齧歯類・霊長類などの実験動物へ接種することで,α-Synがプリオンのように脳内を伝播しレビー小体様の病理が出現することが複数報告されている3-5).
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