Japanese
English
特集 パーキンソン病up to date
パーキンソン病の知的機能障害
Cognitive Impairment in Parkinson's Disease
田丸 冬彦
1
,
柳澤 信夫
2
Fuyuhiko Tamaru
1
,
Nobuo Yanagisawa
2
1長野県厚生連リハビリテーションセンター鹿教湯病院神経内科
2信州大学第3内科
1Department of Neurology, Kakeyu Hospital
2Department of Medicine (Neurology), Shinshu University School of Medicine
キーワード:
Parkinson's disease
,
cognitive function
,
subcortical dementia
,
information processing
,
frontal lobe
,
basal ganglia
Keyword:
Parkinson's disease
,
cognitive function
,
subcortical dementia
,
information processing
,
frontal lobe
,
basal ganglia
pp.731-740
発行日 1991年8月1日
Published Date 1991/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900230
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
パーキンソン病にはかなり高率に認知機能異常あるいは痴呆がともなう。パーキンソン病患者のうち臨床的に痴呆と診断される頻度は,母集団の選択や痴呆の基準の問題があるが,約2割であり(Celesiaら1972,Marttilaら1976,Elizanら1986,Mayeuxら1988,Hietanenら1988,進藤ら1990),老年期痴呆が高齢者に占める頻度である約5%より明らかに多い。しかも「痴呆」という言葉は,一般に認知機能異常があることにより社会生活に支障をきたす段階に至ったものを指すことを考えると,それに至らない軽微な認知異常はさらに多くのパーキンソン病患者に認められる可能性がある。
パーキンソン病にともなう痴呆・認知障害に関しては,現在,2つの異なった視点からのアプローチがなされている。1つの視点は,大脳皮質そのものに存在する病理・生化学的な異常と痴呆との関連を追求するものである。大脳皮質のsenile plaqueやneuro—fibrillary tangle,マイネルト基底核の変性などのアルツハイマー病と共通の病理変化,および大脳皮質に汎発するレビー小体と痴呆との関連についての検討がなされている(Hakimら1979,Bollerら1980,Yo—shimura1983など)。この点についてはQuinnら(1986)や安藤(1990)の総説に詳述されているので参照されたい。このアプローチでは剖検脳の病理変化を中心として検討されているため,生前の認知機能との対応の検討はかなり困難であり,微妙な認知機能の変化についての責任病変を追求することはできない。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.