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第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子治療技術を用いた疾患治療
泌尿器がんの遺伝子治療,ウイルス療法
-――基礎研究と臨床試験の現状
Gene therapy and oncolytic viral therapy for urological cancers
――An overview of preclinical research and clinical trials
竹島 雄太
1
,
福原 浩
2
Yuta TAKESHIMA
1
,
Hiroshi FUKUHARA
2
1東京大学医科学研究所先端医療研究センター先端がん治療分野
2杏林大学医学部泌尿器科学教室
キーワード:
泌尿器がん
,
ウイルスベクター
,
がん治療用ウイルス
Keyword:
泌尿器がん
,
ウイルスベクター
,
がん治療用ウイルス
pp.453-463
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505453
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泌尿器がんは前立腺がん,膀胱がん,腎臓がん,精巣がん,副腎がん,陰茎がんなど,多岐にわたる.症例数・研究報告数が最も多い前立腺がんの解説は他稿に譲るが,残る泌尿器がんについても遺伝子治療,特にウイルスベクターやがん治療用ウイルス(腫瘍溶解型ウイルス)を使用した研究報告が多くなされている.それぞれのがん種に新規治療開発の大きなニーズが存在し,それに呼応して基礎研究,臨床試験が進められてきた.1990年代のアデノウイルスベクターを利用したがん細胞内でのがん抑制遺伝子発現を皮切りに,がん治療用ウイルス(腫瘍溶解型ウイルス)や免疫学的なアプローチを採用したサイトカイン搭載ウイルスなどの有効性が次々と膀胱がんモデルで検証された.臨床試験にもこれらウイルスのうち複数のものが使用され,特にがん治療用アデノウイルスCG0070やサイトカイン搭載アデノウイルスrAd-IFN-Syn3は良好な結果を示しており,将来的な薬事承認が期待される.本稿では,各種泌尿器がんについて遺伝子治療,ウイルス療法の現在までの基礎研究の流れ,および臨床試験の進捗をまとめ,解説する.
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