Japanese
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TOPICS 循環器内科学
フェロトーシスにおけるミトコンドリアタンパク質MITOLの新たな可能性
New possibilities for the mitochondrial protein MITOL in ferroptosis
北方 博規
1
,
遠藤 仁
1
Hiroki KITAKATA
1
,
Jin ENDO
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
pp.216-217
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28503216
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脂質過酸化による新たなプログラム細胞死フェロトーシス
細胞死は従来,外的あるいは内的なストレスによって生じる「制御されない細胞死」ネクローシスと,組織や生命そのものの保持のためカスパーゼの活性化を介して自発的に死滅する「プログラム細胞死」アポトーシスに大別されてきた.しかし,近年,「プログラム細胞死」はアポトーシスだけではなく,誘因・プロセス・形態がまったく異なるプログラム細胞死が存在することが明らかとなっている.2012年,膜リン脂質中の過酸化脂質の蓄積を特徴とする新たな細胞死としてフェロトーシスという概念がDixonらにより報告された1).フェロトーシスは,特に細胞内自由鉄による脂質の過酸化が誘因として重要であり,鉄の恒常性維持や酸化ストレスと関連する経路で制御されている.これまでの研究から,脳室周囲白質軟化症,ハンチントン病,急性尿細管壊死などさまざまな疾患との関連も明らかになってきており,病態生理学的にもフェロトーシスの重要性が認識され始めている2).フェロトーシスに関する分子学的機序も近年飛躍的に解析が進んでおり,フェロトーシスに対する防御機構として,グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)3)およびferroptosis suppressor protein 1(FSP1)4,5)が鍵分子であることが解明され,これらの酵素活性の上昇が,細胞死を防ぐ重要な戦略と理解されている.
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