Japanese
English
TOPICS 免疫学
クローン病型腸内細菌叢によるリゾホスファチジルセリン産生を介した病態増悪機構
Microbiota-derived lysophosphatidylserines aggravate T cell-mediated intestinal pathology in Crohn’s disease
香山 尚子
1
Hisako KAYAMA
1
1大阪大学高等共創研究院,同大学院医学系研究科
pp.218-219
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28503218
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細胞膜を構成するリン脂質とその代謝機構
細胞膜は,リン脂質,スフィンゴ脂質,糖脂質,コレステロールなどの脂質分子により構成されている1).原核生物と真核生物ともに,脂質はゲノムにコードされていないため,多様な酵素により合成と代謝が行われる.親水性極性頭部と疎水性尾部(脂肪酸鎖)からなるグリセロリン脂質は,極性頭部の種類によりホスファチジルコリン(PC),ホスファチジルセリン(PS),ホスファチジルエタノールアミン(PE),ホスファチジルイノシトール(PI),ホスファチジルグリセロールなどのクラスに分けられる.細胞膜の外側の層には,PC,糖脂質,スフィンゴ脂質であるスフィンゴミエリンが局在し,細胞質側には,PE,PS,PIが局在する.コレステロールは,細胞膜の外側と内側の層いずれにも存在する.宿主と細菌が有する酵素ホスホリパーゼA1(PLA1)とPLA2は,細胞膜を構成するグリセロリン脂質を加水分解することにより,遊離脂肪酸とリゾリン脂質(LysoPC,LysoPS,LysoPEなど)を生成する.リゾリン脂質の一部は,受容体を介して脂質メディエーターとして作用する.しかし,腸管組織において,宿主および腸内細菌由来PLAsにより産生されるリゾリン脂質の免疫系および上皮バリアへの作用については未解明な点が多い.
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