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特集 ミトコンドリア病――病態解明を基盤とした治療薬開発
ミトコンドリアタンパク質の膜透過と膜組込機構
Mechanisms of protein transport across and into the mitochondrial membranes
遠藤 斗志也
1,2
,
荒磯 裕平
3
,
竹田 弘法
4
Toshiya ENDO
1,2
,
Yuhei ARAISO
3
,
Hironori TAKEDA
4
1京都産業大学生命科学部先端生命科学科
2同タンパク質動態研究所
3金沢大学医薬保健研究域保健学系
4奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科バイオサイエンス領域
キーワード:
TOM複合体
,
SAM複合体
,
ミトコンドリアタンパク質前駆体
,
βバレル型膜タンパク質
Keyword:
TOM複合体
,
SAM複合体
,
ミトコンドリアタンパク質前駆体
,
βバレル型膜タンパク質
pp.1151-1156
発行日 2022年6月18日
Published Date 2022/6/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281121151
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ミトコンドリアタンパク質の大部分はサイトゾルで前駆体タンパク質として翻訳されてから,ミトコンドリア膜上のトランスロケータにより認識されてミトコンドリア内に移行し,外膜,膜間部,内膜,マトリックスへと仕分けられる.近年のクライオ電子顕微鏡と単粒子解析法の進展によって,トランスロケータの精密構造が決定され,トランスロケータが働く仕組みの理解が急速に進みつつある.外膜のトランスロケータのTOM(translocase of the outer membrane)複合体はほとんどのミトコンドリアタンパク質の入口として働くが,膜透過チャネルの出口にタンパク質輸送経路の下流因子が集まって,効率よいタンパク質の受け渡しを実現していることが明らかになった.外膜のトランスロケータのSAM(sorting and assembly machinery)複合体は,βバレル型膜タンパク質のβバレル構造形成と外膜への組み込みを担う装置で,サブユニットと基質が動的に入れ替わる独自の反応サイクルで働くことが明らかになった.これらの結果はミトコンドリアの機能低下や機能欠損に伴う老化やヒト病態の理解の基盤となる知見を与えるものと考えられる.
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