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特集 環境化学物質が人体へ与える影響
ダイオキシンによる健康影響と日本の規制の現状
Dioxin and health
遠山 千春
1
,
木村 栄輝
2
Chiharu TOHYAMA
1
,
Eiki KIMURA
2
1東京大学
2シンシナティ大学医学部
キーワード:
ダイオキシン
,
環境汚染
,
健康リスク
Keyword:
ダイオキシン
,
環境汚染
,
健康リスク
pp.138-143
発行日 2023年4月8日
Published Date 2023/4/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28502138
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行政規制の対象となるダイオキシン類は,ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン,ポリ塩化ジベンゾフラン,およびポリ塩化ビフェニルのうち,細胞内のアリール炭化水素受容体を介してさまざまな毒性を発現する29種類の異性体である.このうち最も毒性が強い異性体である2,3,7,8-四塩化ジベンゾパラジオキシンを基準として,その他の異性体の毒性が検討されている.急性毒性として塩素ざ瘡や色素沈着,肝毒性などが生じる.慢性毒性として発がん性,生殖発生毒性,中枢神経毒性が知られている.妊娠期に母体を介して曝露を受けた子では,ダイオキシン類の血液(血清)濃度が一般環境の3倍程度で,精液の質の低下や脳機能の異常が見出されたとの疫学結果も報告されている.一方,安全基準である耐容1日摂取量は4pg TEQ/kg体重/日であり,日本における1日摂取量は,2021年には0.44pg TEQ/kg体重/日と推定されている.安全は確保されているとみなせるが,他の多種多様な化学物質への複合曝露があることから,モニタリングによる調査が望まれる.
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