連載 いま知っておきたい環境問題・1【新連載】
ダイオキシン
田中 勝
1
1国立公衆衛生院廃棄物工学部
pp.66-73
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901923
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連載のはじめに
成人病が生活習慣病と名前を変えたが,人の健康は生活習慣のみならず,我々を取り巻く生活環境に大きく依存していることを忘れていることが多い。健康と環境との関わりは,公衆衛生の分野では古くは環境衛生と称されて,ネズミや害虫の駆除などによる伝染病の予防が大きな問題であった。しかし,最近は地球温暖化やオゾン層の破壊などの地球環境問題,大気中の発がん性化学物質,O-157よる集団食中毒の発生,ダイオキシン類,さらには内分泌擬乱化学物質(環境ホルモン)と,次々に我々の健康を脅かす恐れのある環境問題が浮上してきている。
地域保健法が施行されて,保健婦にはより一層の専門的知識が要求されるようになり,また市町村の保健婦にとっても最近の市民の環境問題に対する意識の高まりから,前にも増してこれらの環境問題に関する知識が必要になってきているのを実感されていると思う。保健婦にとって環境問題は専門外の事柄であると言って,無関心ではいられない問題であるはずである。産業保健婦に職業性疾患の知識やそれを引き起こす職場環境の知識が必要なように,健康に関わりのある生活環境問題に関する知識は,これからの保健婦活動の幅を大きく広げていくものだと思う。
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