FORUM 日本型セルフケアへのあゆみ・第19回
よくわかるがんゲノム医療②:病的バリアントの臨床的意義
児玉 龍彦
1,2,3
1東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクトリーダー
2日本セルフケア推進協議会業務執行理事
3日本在宅がん療養財団代表理事
pp.971-976
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28412971
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POINT
●ヒトゲノム解読によって個人個人のゲノムの塩基配列に差異が認められ,ヒトゲノムの多様性が明らかとなった.バリアントとは多様性を意味する英語で,病気を引き起こす率が高いことが証明されている「病的バリアント」と,病気につながるかわからない「意義の不明なバリアント」(Variant of Uncertain Significance:VUS)がある.
●がんの病的バリアントとは70歳くらいまでの統計で罹患率が上がるものを指す.遺伝性腫瘍にはいくつもの種類があるが,代表的なものとして,遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)やLynch症候群が挙げられる.遺伝学的検査の進歩によって診断率は向上したが,複数の遺伝子を解析するのでVUSが認められる頻度が高くなる.
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