特集 川崎病―原因究明・診断・管理の進歩
4.川崎病と遺伝子バリアント
尾内 善広
1
1千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学
キーワード:
多因子遺伝性疾患
,
遺伝要因
,
罹患感受性遺伝子
,
精密医療
,
薬理遺伝学研究
Keyword:
多因子遺伝性疾患
,
遺伝要因
,
罹患感受性遺伝子
,
精密医療
,
薬理遺伝学研究
pp.963-969
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001377
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川崎病は多因子遺伝性疾患とみなされ,感染や遺伝その他の要因が複雑に絡んだ病因が予想される.遺伝要因の研究は2000年代に加速し,確実性の高い罹患感受性遺伝子が複数特定された.そのうちITPKC,CASP3については免疫グロブリン大量静注療法への抵抗性や冠動脈病変リスクとの関連も確認され,さらには重症化が予想される患者に対するシクロスポリン併用で強化した初期治療の開発に結びついた.今後,重症化の遺伝要因の大規模検索,精密医療に資する薬理遺伝学研究や,レアバリアントや東アジア人に特異的なバリアントの検討が川崎病の医療のさらなる充実や川崎病発見以来の病因,疫学における謎の解明には有望と思われる.
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