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特集 肝線維化とバイオマーカー
肝線維症治療薬の開発における線維化改善マーカーの意義
Biomarkers for evaluating the regression of liver fibrosis
――Implication in the development of anti-fibrotic therapy
稲垣 豊
1
,
柳川 享世
1,2
Yutaka INAGAKI
1
,
Takayo YANAGAWA
1,2
1東海大学大学院医学研究科マトリックス医学生物学センター
2同医学部基礎医学系生体機能学
キーワード:
肝線維症治療薬
,
バイオマーカー
,
治療効果判定
Keyword:
肝線維症治療薬
,
バイオマーカー
,
治療効果判定
pp.929-933
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28412929
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肝線維症の非侵襲的診断の必要性が叫ばれて久しい.かつてはインターフェロンの効果が期待できる線維化非進行例の選別がその主たる理由であったが,肝硬変症例でも直接作動型抗ウイルス薬(DAA)によってウイルス学的著効が得られる今日では,治療後の肝線維化改善を評価するうえでの重要性が増している.加えて近年では,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)症例において,その生命予後を予測するバイオマーカーの開発に大きな期待が寄せられている.肝線維症が適切な治療により組織学的にも改善することが認識され,近年の肝線維症治療薬の開発に対する産学の関心の高まりは著しい.欧米を中心に多くの候補薬剤が開発される一方で,いまだ臨床応用に至った事例はない.組織に沈着した線維量ではなく,線維の産生をリアルタイムに評価しうる機能的なバイオマーカーの開発は,肝線維症治療候補薬剤の試験対象となる患者選択と抗線維化効果の的確な評価にとって喫緊の課題である.
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