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特集 肝硬変は治るか? 組織改築改善・研究の最前線
【基礎】
線維化改善機序からみた肝線維症の治療戦略
Treatment strategy for liver fibrosis based on the mechanisms underlying resolution of fibrosis
稲垣 豊
1,2
,
中野 泰博
1,2,3
,
柳川 享世
1,2
Yutaka INAGAKI
1,2
,
Yasuhiro NAKANO
1,2,3
,
Takayo YANAGAWA
1,2
1東海大学大学院医学研究科マトリックス医学生物学センター
2同医学部先端医療科学
3東京医科歯科大学難治疾患研究所発生再生生物学分野
キーワード:
肝線維症
,
線維化改善機序
,
肝星細胞
,
脱活性化誘導
Keyword:
肝線維症
,
線維化改善機序
,
肝星細胞
,
脱活性化誘導
pp.782-785
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908782
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肝線維症は,種々の原因によってもたらされる慢性炎症の結果として組織中にコラーゲンをはじめとする細胞外マトリックスが過剰沈着した病態である.肝線維症の進展機序に関する研究の進歩に比較して,改善機序の研究はこれまで立ち遅れていたが,近年,その分子細胞基盤に新たな知見が得られつつある.肝線維症の改善においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現は既存線維の分解に必須であるが,最近の研究でMMPsには線維分解酵素としての役割に加えて,肝前駆細胞の動員や分化を制御する新たな一面が注目されている.また,線維化刺激を除去した後の改善過程においては約半数の活性型星細胞が静止期に近い状態に戻ることが実験的に示された.この活性型星細胞の脱活性化を人為的に誘導できれば肝線維症に対する新たな治療法につながることが期待され,脱活性化機序の解明とこれを促す低分子化合物の探索が活発に行われている.
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