Japanese
English
特集 尿細管と腎線維化
【臨床と病理】
腎線維化のバイオマーカー
Kidney interstitial fibrotic biomarker
志田 龍太郎
1
,
山城 良真
1
,
安田 日出夫
1
SHIDA Ryutaro
1
,
YAMASHIRO Yoshimichi
1
,
YASUDA Hideo
1
1浜松医科大学 第一内科
キーワード:
バイオマーカー
,
線維化
,
細胞外基質
,
CDH11
,
SMOC2
,
PEDF
Keyword:
バイオマーカー
,
線維化
,
細胞外基質
,
CDH11
,
SMOC2
,
PEDF
pp.872-877
発行日 2022年12月25日
Published Date 2022/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000552
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はじめに
腎機能が低下した患者では,その原因にかかわらず腎組織において間質の線維化を認める。間質の線維化はすべての進行性・慢性の腎臓病で共通の最終経路と考えられ,線維化の重症度は腎予後を規定すると報告されている1,2)。腎線維化を同定する最も正確な方法は腎生検であるが,侵襲的かつ一定のリスクを伴うため,安易に,ましてや時系列を把握する目的に複数回行うことは現実的でない。軽度の腎機能低下を伴う症例の腎生検で,すでに腎線維化が検出されることも多い3)。また,蛋白尿は将来的な末期腎不全(ESKD)の進行リスクは反映するが,必ずしも腎線維化の程度とは相関しない。このように,血清クレアチニン(Cr)値など腎機能の指標が増悪するよりも先に腎線維化を判断し,腎予後が悪いと予測される患者には,より早期の治療介入を開始することが重要である。低侵襲である血液や尿から得られる信頼性の高い腎線維化のバイオマーカーが同定できれば,早期に腎線維化の判断から治療介入へとつながり,また,創薬開発の対象者を特定できる可能性がひろがる。
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