2型糖尿病の予防とコントロールのための食事と食事療法

Diet for prevention and control of type 2 diabetes

　糖尿病の予防と治療における食事のエビデンスは，メタアナリシスを含め近年かなり充実してきた．これらによると，食事療法は薬物療法に十分匹敵する有効性が期待される．しかし現場では，薬物療法より手間や時間がかかる割に効果が小さく，効果発現が遅いと思われ敬遠されがちである．わが国の糖尿病食事療法は伝統的に，標準体重と身体活動量係数により算出された摂取エネルギーと，固定された三大栄養素割合により一律に行われることが多かったが，現在のガイドラインではこれらはあくまで目安とされ，個々の患者の病態や生活状況などに応じ，柔軟に個別化すべきとされている．一方，食物繊維や塩分など多くの栄養因子が，合併症リスクに多大な影響を及ぼすことも判明している．今後は，エビデンスのさらなる充実とともに，予防と治療の一体化によるシームレスな食事指導と，そのための指導技術の進歩が期待される．