連載 もうひとつの国境なき医師団・1
意外な展開
東梅 久子
1
1国境なき医師団
pp.941
発行日 2004年7月10日
Published Date 2004/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100569
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ある冬の日,長年の夢が叶って退職が決まった.教授に進路を問われたものの決まっていなかったので答えられなかった.しばらくどうしたものか逡巡した末,退職が押し迫った3月下旬,イラク戦争が始まった日に国境なき医師団日本へ応募書類を送った.
国境なき医師団(MEDECINS SANS FRO─NTIERES,MSF)が国際的な民間医療援助団体であることを知る産婦人科医は多いと思う.しかしながら,国境なき医師団が主な活動の対象とする戦争,紛争,貧困に苦しむ人々という言葉からイメージされるのは,遠く思い及ばない国で起きている遠く思い及ばない出来事というのが一般的ではないだろうか.私自身そのような遠く思い及ばない国の辺境の地で産婦人科医から離れてひとりの一般医として働くことを考えての応募であった.
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