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特集 クライオ電顕が解き明かす神経変性疾患のメカニズム
クライオ電顕の原理と日本の現状
Principle of cryo-electron microscopy and current status in Japan
岩崎 憲治
1
Kenji IWASAKI
1
1筑波大学 生存ダイナミクス研究センター
キーワード:
アミロイド線維
,
らせん
,
クライオ電子顕微鏡(cryo-EM)
,
単粒子解析法
Keyword:
アミロイド線維
,
らせん
,
クライオ電子顕微鏡(cryo-EM)
,
単粒子解析法
pp.1111-1114
発行日 2022年12月24日
Published Date 2022/12/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283131111
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神経変性疾患の原因として有名なアミロイド線維の構造は,クライオ電子顕微鏡(cryo-EM)を使ってその原子座標まで解明された.実は,らせん状線維構造解析は,透過型電子顕微鏡(TEM)の画像を使った生体分子構造解析法の開発の歴史において常に最先端で試みられてきた.アクチン線維や細菌鞭毛の構造解析がその代表である.2013年の12月に大ブレークを果たしたcryo-EM画像を使った生体分子構造解析法である “単粒子解析法” は,2017年のノーベル化学賞を獲得した.その年に報告された,患者脳から単離したタウタンパク質からなる線維構造の解析は,単粒子解析法のらせん状線維構造解析への応用のなかでも大きな成果のひとつであろう.Cryo-EMを使った単粒子解析は,わが国においてもcryo-EM施設の整備とともに官民問わず急速に普及している.病因解明や創薬につながる本解析手法が,専門家だけのものから生化学者などのユーザーへ広がりはじめている.
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