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特集 クライオ電顕が解き明かす神経変性疾患のメカニズム
クライオ電顕解析でみつかった新規アミロイドTMEM106Bの役割
Physiological and pathological roles of TMEM106B
――A novel component of amyloid fibrils identified by cryo-EM analysis
鈴木 宏昌
1
Hiroaki SUZUKI
1
1東京医科大学薬理学分野
キーワード:
TMEM106B
,
一塩基多型
,
前頭側頭葉変性症(FTLD)
,
アミロイド線維
Keyword:
TMEM106B
,
一塩基多型
,
前頭側頭葉変性症(FTLD)
,
アミロイド線維
pp.1138-1143
発行日 2022年12月24日
Published Date 2022/12/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283131138
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神経変性疾患の特徴として,脳内における異常タンパク質凝集体の蓄積と選択的神経細胞死があげられる.異常タンパク質凝集が神経細胞死の原因か,それとも結果なのかについては議論の余地が残るが,神経変性に深く関与することが示唆されている.2022年,クライオ電顕を用いた解析から,transmembrane protein 106B(TMEM106B)のC末端断片がアミロイド線維を形成することが複数の研究グループから報告された.このTMEM106Bのアミロイド線維は,複数の神経変性疾患で検出され,また正常高齢者においても認められる.TMEM106Bのアミロイド線維と神経変性との関連は不明な点が多いが,神経変性疾患研究の新たなキープレイヤーとして,その動向が注目される.本稿では,TMEM106Bについてこれまで報告されている生理機能と疾患発症との関連を概説し,新たに発見されたTMEM106Bアミロイド線維の知見を述べる.
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