Japanese
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特集 クライオ電顕が解き明かす神経変性疾患のメカニズム
シヌクレイノパチー線維の構造
Cryo-EM reveals polymorphisms of alpha-synuclein that imparts synucleinopaties
Cesar Aguirre
1
,
池中 建介
1
,
望月 秀樹
1
Cesar AGUIRRE
1
,
Kensuke IKENAKA
1
,
Hideki MOCHIZUKI
1
1大阪大学大学院医学系研究科神経内科
キーワード:
αシヌクレイン(αSyn)
,
アミロイド線維
,
構造多型
,
パーキンソン病(PD)
,
多系統萎縮症(MSA)
Keyword:
αシヌクレイン(αSyn)
,
アミロイド線維
,
構造多型
,
パーキンソン病(PD)
,
多系統萎縮症(MSA)
pp.1121-1128
発行日 2022年12月24日
Published Date 2022/12/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283131121
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αシヌクレイン(αSyn)と神経変性疾患の関係が最初に注目されたのは,1997年に家族性パーキンソン病(PD)家系の原因遺伝子として同定されてからである.同年,孤発性PDに蓄積するレビー小体にもαSynの凝集体が蓄積していると判明し,さらに大きな注目を集めるようになった.その後,αSyn凝集体は,レビー小体型認知症(DLB)や多系統萎縮症(MSA)においても凝集していることが知られるようになり,同一タンパク質がまったく異なる臨床像を呈することが長年の大きな疑問となっていた.最近では,その多様性が “αSyn凝集体=アミロイド線維” の構造多型に起因することが知られるようになった.つまり,αSynが異常構造を獲得した後に,多量体を形成していく過程でさまざまな高次構造を獲得できるわけである.このような仮説は以前から存在したが,特に近年,クライオ電子顕微鏡(CryoEM)技術の発達によって,患者脳内に存在するアミロイド線維の分子構造までを明らかにできるようになったことでその仮説が証明されるに至った.さらに現在では,特定の分子構造と臨床像の関係(構造-活性相関)についても言及される時代がおとずれている.本稿では,これまでに報告をされたαSynの構造多型について概説し,それらの特徴と臨床像の関連についても触れていきたい.
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