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連載 医療AI技術の現在と未来――できること・できそうなこと・できないこと・Vol.9
公共シークエンスレポジトリを用いた大規模トランスクリプトーム解析からの知識発見
Knowledge discovery from large-scale transcriptome analysis using public sequencing repositories
白石 友一
1
,
岡田 愛
1
Yuichi SHIRAISHI
1
,
Ai OKADA
1
1国立がん研究センター研究所ゲノム解析基盤開発分野
キーワード:
トランスクリプトーム解析
,
スプライシング異常
,
ビッグデータ解析
,
クラウド
Keyword:
トランスクリプトーム解析
,
スプライシング異常
,
ビッグデータ解析
,
クラウド
pp.897-904
発行日 2022年11月26日
Published Date 2022/11/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28309897
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◎疾患関連ゲノム変異の多くは,スプライシング異常により遺伝子機能を破壊するものである.ゲノム医療の進展に伴い,疾患と関連するスプライシング変異の同定がこれまで以上に重要となってきている.スプライシング変異を検出するためのバイオインフォマティクス手法の多くは,ゲノムとトランスクリプトームの両方のデータを必要とする.しかし,その両方が利用可能なデータセットが揃っている状況はあまり多くない.筆者らは,トランスクリプトームシーケンスデータのみを用いて,スプライシング変異(より具体的にはイントロン残存)の原因となるゲノム変異を検出する手法を開発した.本手法を230,988件のトランスクリプトームシーケンスデータに適用し,27,049件のイントロン保持関連バリアント(IRAVs)を同定した.さらに,既存の疾患データベースに登録されている変異との位置関係を探索することで,がんドライバー,劣性遺伝病に関連する変異など,3,000の疾患関連変異候補を抽出することができた1).この新しいインシリコスクリーニングの枠組みにより,大量に蓄積された公開シークエンスデータを最大限に活用し,自動的に医療知識を獲得することが可能である.同定されたIRAVは,IRAVDB(https://iravdb.io/)で公開されている.
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