特集 次世代シークエンサーを使いこなす:目的別解析法からデータ処理まで
トランスクリプトーム解析
鈴木 穣
1
1東京大学 新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻ゲノム制御医科学分野
キーワード:
mRNA
,
遺伝子発現調節
,
転写
,
DNA配列分析
,
RNA配列分析
,
遺伝子チップ
,
遺伝子発現プロファイリング
,
MicroRNAs
,
転写開始点
,
トランスクリプトーム
Keyword:
Gene Expression Regulation
,
RNA, Messenger
,
Transcription, Genetic
,
Sequence Analysis, DNA
,
Sequence Analysis, RNA
,
Oligonucleotide Array Sequence Analysis
,
Gene Expression Profiling
,
Transcription Initiation Site
,
MicroRNAs
,
Transcriptome
pp.817-822
発行日 2011年7月22日
Published Date 2011/7/22
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次世代シークエンサー(NGS)を用いて大量の塩基配列を決定することが可能になった.NGSは,DNAの配列自体を決定するのに用いるのはもちろんだが,試料調製を工夫することによって,遺伝子発現量の計測あるいはその制御に関わる因子を解析するのに用いることもできる.例えば,真核生物の細胞には,1細胞あたり50〜 100万個程度のmRNAが含まれると考えられているが,これらの配列をすべて決定することができれば,その数を数えることでどの遺伝子が何分子mRNAとして発現していたかを解析することができる.また,miRNAなど塩基長の短いRNA配列,キャップ構造などの特徴的な構造物の近傍に存在するRNA配列,あるいは,核,細胞質,ポリソームといった特定の細胞内画分にあるすべてのRNA配列を同定することで,様々な局面でRNAの動態を計測することができる.さらに,ChIP Seqと類似した方法をRNA結合タンパク質に用いれば,そのタンパク質がどのようなRNAと結合していたのかを解析することも可能である.塩基配列を決定するのが“シークエンサー”であるが,本稿では,その“塩基配列の決定”以外の用い方,特にmRNA発現量の測定(RNAタグのデジタル計測)といった,いわゆるトランスクリプトーム解析への応用について概説する.
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