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第1土曜特集 1細胞解析――技術と応用
技術
組織切片の空間トランスクリプトーム解析
Spatial transcriptome analysis of tissue sections
永澤 慧
1
,
鈴木 穣
1
Satoi NAGASAWA
1
,
Yutaka SUZUKI
1
1東京大学新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻
キーワード:
空間トランスクリプトーム(ST)
,
がん不均一性
,
がん微小環境
,
乳がん
Keyword:
空間トランスクリプトーム(ST)
,
がん不均一性
,
がん微小環境
,
乳がん
pp.940-946
発行日 2021年3月6日
Published Date 2021/3/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27610940
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1細胞解析技術によって器官や組織を細胞側からボトムアップに見ることができるようになった.その結果,発生やがんの不均一性,感染症など,ヒトが直面するさまざまな局面について,これまでとは異なるまったく新しい目で定義することが可能となった.だが一方で,サンプル調製のためにいったん組織構築を壊してしまうと,これまでトップダウンに眺めてきた直感的な情報が失われ,各種細胞の生物学的意義を伴う空間配置や,さまざまな一過性の状態からなる複雑性といった細胞社会の全体像が見えにくくなるという欠点も併せ持つ.この認識が,空間トランスクリプトーム解析(ST)技術の進歩を牽引してきた.この分野は近年急速に拡大しており,新しい技術が次々に開発されている.その膨大な数の方法論はアプローチに根本的な違いがあり,各方法特有の長所と短所が存在し,感度,労力,組織型依存性など,解決すべき課題が多数存在している.現在のところ,単一の方法でこれらの重要なパラメータすべてに対応できるものはない.本稿では,現在利用可能なST解析手法について概述し,その使用例として非浸潤性乳管癌(DCIS)の不均一性と,浸潤能を獲得した癌細胞の組織局在を空間的に把握しえた一例を紹介する.
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