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連載 人工臓器の最前線・vol.12
肝機能代替のための多様なアプローチ:現状と課題
Various approached to replacement of liver functions
酒井 康行
1
Yasuyuki SAKAI
1
1東京大学大学院工学系研究科・化学システム工学専攻
キーワード:
肝不全
,
機能代替
,
肝再生
,
生体組織工学
Keyword:
肝不全
,
機能代替
,
肝再生
,
生体組織工学
pp.732-738
発行日 2022年11月12日
Published Date 2022/11/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28307732
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□本稿では,肝機能代替のためのさまざまなアプローチの現状を概説する.急性肝不全を対象とした体外循環型のうち,物理化学的な人工肝はわが国においても一定の成功を見ている.一方,細胞を利用するバイオ人工肝の諸外国での臨床研究では,肝移植までの橋渡しとしては成功しているものの,人工肝のみでの救命が顕著であるとはいえない.高価である細胞利用型の治療は,より長期の代替を目指した再構築型肝組織による再生医療を目指すことが望まれる.再構築型組織の大きさは血管系配備の有無であり,まずはそれを必要としない小型組織の移植で効果が期待できる遺伝的代謝性肝疾患が対象となろう.
□一方,肝移植と同様に血管系への接続を伴う移植については,ブタ脱細胞化組織を利用した再構築組織で肝不全ブタ治療の成功が報告されており,今後,細胞のヒト化を通じた臨床応用が期待される.このような先進的な治療では,チャレンジ精神にあふれた産業人と研究者によるベンチャー企業に高い期待が集まる.
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