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特集 診療における薬理遺伝学検査の社会実装に向けて
がん化学療法におけるファーマコゲノミクス
-――薬物代謝酵素の遺伝子多型にフォーカスして
Pharmacogenomics in cancer chemotherapy:focus on genetic polymorphisms of drug metabolizing enzymes
平塚 真弘
1
Masahiro HIRATSUKA
1
1東北大学大学院薬学研究科生活習慣病治療薬学分野
キーワード:
ファーマコゲノミクス(PGx)
,
がん化学療法
,
薬物代謝酵素
,
遺伝子多型
Keyword:
ファーマコゲノミクス(PGx)
,
がん化学療法
,
薬物代謝酵素
,
遺伝子多型
pp.696-700
発行日 2022年11月12日
Published Date 2022/11/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28307696
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ファーマコゲノミクス(PGx)は,ゲノム情報に基づいた創薬研究と,医薬品の作用と患者個人の遺伝子特性との関係性を研究する学問 “ゲノム薬理学” を指す.PGxの目的は,個々の患者に最適化された医薬品や投薬法の開発である.患者個人の遺伝子に最適な医薬品を開発・投与することで,医薬品の効果の向上や副作用の抑制が期待でき,医療費の削減につながることが期待される.特に抗がん剤は通常,治療域が非常に狭い.したがって,患者の生命を脅かす毒性のリスクに曝すことなく最大の効果を得るためには,適切な用量を使用することが非常に重要である.しかし,抗がん剤の薬物代謝酵素や標的タンパク質をコードする遺伝子に特異的な多型が存在するため,適切な用量を調整することはそう容易ではない.本稿では,そのような薬物代謝酵素の遺伝子多型の例を紹介し,がん化学療法におけるPGxの影響について述べる.
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