Japanese
English
今月の主題 ファーマコゲノミクス
話題
イリノテカンのファーマコゲノミクス
Pharmacogenomics of irinotecan
茶屋原 菜穂子
1
Naoko CHAYAHARA
1
1神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科
キーワード:
イリノテカン
,
SN-38
,
UGT1A1
Keyword:
イリノテカン
,
SN-38
,
UGT1A1
pp.1173-1177
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102415
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1.はじめに
イリノテカン塩酸塩(以下,イリノテカン)はトポイソメラーゼIを阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する本邦で開発された抗悪性腫瘍薬で,大腸癌,肺癌,胃癌など様々な固形癌においてその有用性が証明され,広く一般臨床で用いられているが,時に重篤な下痢や骨髄抑制が出現し致死的となる.
近年,ゲノム科学の進歩により,薬物動態および薬効に関与する遺伝子の多型が急速に明らかにされつつあり,遺伝子レベルで規定される個体間の多様性に基づいた個別化治療の概念が現実的なものとなってきている.中でもイリノテカンは世界的に最も研究が進んでいる薬剤の1つで,特にUDP-グルクロン酸転移酵素(uridine diphosphate glucuronosyltransferase;UGT)1A1活性の遺伝子多型による個体差と副作用についてはよく研究されており,2005年には米国で,2008年には日本でも添付文書の改定および遺伝子診断キットの認可が行われ,個別化医療の先駆けとなっている1).本稿ではUGT1A1遺伝子多型を中心に最近の知見について述べてみたい.
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