今月の主題 ファーマコゲノミクス
巻頭言
動き始めたわが国のファーマコゲノミクス検査
北島 勲
1
Isao KITAJIMA
1
1富山大学大学院医学薬学研究部臨床分子病態検査学講座
pp.1105-1106
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102405
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ポストゲノム時代に入り,ヒトゲノム情報に基づく個別化医療が展開されている.その中で最も期待される分野が個別化薬物療法である.すなわち,病名が決まれば治療薬や治療法が画一的に選択されてきた従来の医療から,同じ病名でも個人のゲノム情報を基に治療薬や投与量が決定される時代になってきた.個別化薬物療法を可能としたのが,今回の主題である「ファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics;PGx)」で「ゲノム薬理学」と和訳されている.PGxは「薬物と関連するDNAおよびRNAの特性に関する研究」と定義されている.一方,ファーマコジェネティクス(Pharmacogenetics;PGt)という用語も利用されているが,PGtは「薬物応答と関連するDNA配列の変異に関する研究」と定義され,PGxの一部であると理解されている.本号ではDNA配列変異のみに限定するPGt検査よりは,より広い範囲での薬物代謝関連検査を取り扱うという視点からPGx検査に統一してご執筆いただいた.PGx検査の対象となるゲノムバイオマーカーは,副作用予測に用いられる患者自身における生殖細胞変異と治療効果予測に用いられる変異(体細胞変異)に分類できる.本号で取り上げられる各ゲノムマーカーがどちらに分類されるのか区別して精読されるとご理解いただきやすいかと思われる.
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