Japanese
English
今月の主題 ファーマコゲノミクス
話題
スタチンのファーマコゲノミクス
Pharmacogenomics of statine
赤尾 浩慶
1
,
河合 康幸
1
,
梶波 康二
1
Hironobu AKAO
1
,
Yasuyuki KAWAI
1
,
Kouji KAJINAMI
1
1金沢医科大学循環器内科
キーワード:
statin
,
pharmacogenomics
,
genome-wide association study
Keyword:
statin
,
pharmacogenomics
,
genome-wide association study
pp.1178-1182
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102416
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1.はじめに
1990年代以降に行われた数多くの大規模臨床試験によって,血液中のコレステロール,特に低比重リポ蛋白(low-density lipoprotein;LDL)コレステロールを低下させるスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が,狭心症や心筋梗塞をはじめとした動脈硬化性心血管疾患の初発(1次)および再発(2次)予防に有用であることが確立された.その結果,スタチンは最も高頻度に処方される薬剤の1つとなっている.しかし,投与後のコレステロール低下率には個人差が大きく,また薬剤投与による心血管イベント予防効果は20~50%にとどまっている.薬剤反応性を規定する遺伝素因を探求するファーマコゲノミクス(pharmacogenomics;PGx)研究によって,各個人におけるスタチン治療効果が予測可能となれば,個別化医療につながるばかりでなく,医療経済的にも意義が大きいものと期待される1,2).本稿では,世界で最も処方頻度の高い薬剤であるスタチンのPGx研究について現状と今後の展望を解説したい.
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