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第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
アポトーシスと非アポトーシス細胞死
フェロトーシス(鉄依存性細胞死)
-――転写因子NRF2とBACH1による競合的制御とフェロトーシス伝播現象
Ferroptosis
――Competitively regulation by transcription factors NRF2 and BACH1, and propagation of cell deaths
西澤 弘成
1
,
五十嵐 和彦
1
Hironari NISHIZAWA
1
,
Kazuhiko IGARASHI
1
1東北大学大学院医学系研究科生物化学分野
キーワード:
フェロトーシス
,
転写因子
,
NRF2(nuclear factor-erythroid 2-related factor 2)
,
BACH1(BTB and CNC homology 1)
,
細胞死伝播
Keyword:
フェロトーシス
,
転写因子
,
NRF2(nuclear factor-erythroid 2-related factor 2)
,
BACH1(BTB and CNC homology 1)
,
細胞死伝播
pp.359-366
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305359
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フェロトーシスは近年報告された鉄依存性の細胞死であり,虚血性疾患や神経変性疾患をはじめ,さまざまな疾患の病態に関与するほか,生体内でがん抑制メカニズムとして働くことがわかっている.そのため,がんを含むさまざまな疾患の治療開拓において,フェロトーシスの制御機構が注目されている.酸化ストレス応答性の二大転写因子であるNRF2とBACH1がフェロトーシスを多角的に,それぞれ抑制もしくは促進することがわかっている.NRF2とBACH1による競合的制御は脂質過酸化,鉄代謝,脂質代謝,細胞分化といったフェロトーシスの制御機構のほぼすべてに関わることから,この競合的制御がフェロトーシスの実行をつかさどる主要機構のひとつと考えられる.フェロトーシスは周辺の細胞・組織へ脂質過酸化反応とともに伝播することがわかっており,NRF2とBACH1による制御機構とフェロトーシス伝播の応用が,難治疾患への新規治療開発につながることが期待される.
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