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特集 フェロトーシス(鉄依存性細胞死)――そのメカニズムの解明と,治療への応用
GPx4研究からみた脂質酸化を介する細胞死
-――フェロトーシスとリポキシトーシス
Lipid peroxidation induced cell death regulated by GPx4
――Ferroptosis and lipoxytosis
今井 浩孝
1
Hirotaka IMAI
1
1北里大学薬学部衛生化学
キーワード:
グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)
,
フェロトーシス
,
リポキシトーシス
,
シャペロン介在性オートファジー(CMA)
,
ユビキチン化
Keyword:
グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)
,
フェロトーシス
,
リポキシトーシス
,
シャペロン介在性オートファジー(CMA)
,
ユビキチン化
pp.145-158
発行日 2024年7月13日
Published Date 2024/7/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290020145
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グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)は酸化リン脂質をグルタチオン依存的に還元する酵素であり,2003年に筆者らはGPx4ノックアウト(KO)マウスが胚致死となることを発見し,脂質酸化依存的細胞死の研究を進めてきた.筆者らは単にGPx4を欠損しただけでは,鉄非依存的な脂質酸化を介した細胞死リポキシトーシスが起こることを報告した.一方で2012年にStockwellらは,Ras変異がん細胞を選択的に殺す抗がん剤RSL(Ras Selective Lethal)を見出し,その細胞死誘導機構から二価鉄依存的な脂質酸化(フェントン反応)を介した細胞死フェロトーシスを提唱した.RSL3がGPx4に直接結合し,活性を阻害することから,GPx4がフェロトーシス制御の中心分子として脚光を浴びることになった.フェロトーシス発見から10年がたち,その制御因子や病態との関連が次々と明らかになっている.特に最近,GPx4タンパク質の分解制御もフェロトーシスの感受性変化や実行に寄与することが明らかになってきている.本稿では筆者らのGPx4研究を中心に,脂質酸化依存的な細胞死におけるGPx4の役割とGPx4タンパク質の分解制御に絞って概説したい.
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