Japanese
English
特集 CKD患者に望まれる造血・鉄代謝異常の管理
トピックス
細胞内鉄とフェロトーシス細胞死
Cellular iron and ferroptosis
三島 英換
1,2
MISHIMA Eikan
1,2
1ヘルムホルツセンター・ミュンヘン
2東北大学大学院医学系研究科腎臓内科学分野
キーワード:
脂質過酸化
,
遊離鉄
,
酸化ストレス
,
フェントン反応
,
制御性細胞死
Keyword:
脂質過酸化
,
遊離鉄
,
酸化ストレス
,
フェントン反応
,
制御性細胞死
pp.886-891
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001709
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに:細胞死の分類
細胞死は,生体の細胞がその機能を果たさなくなり,修復不可能に陥る現象である。古い細胞が死んで新しい細胞に置き換わるという自然なプロセスとして生じる場合もあれば,病的状態によって生じる場合もある。現在の分類では,細胞死は,事故的な細胞死と制御性細胞死の2つに分類される。事故的な細胞死は,過度の物理的損傷,化学物質,熱への曝露などによって細胞膜が機械的に破壊される結果生じる細胞死であり,制御できない事故的なイベントとして生じる。一方で,制御性細胞死は,細胞内の細胞死執行にかかわる分子の制御やシグナル伝達の結果として生じ,その実行が制御されている細胞死である。この制御性細胞死の代表例が,よく知られたアポトーシスであるが,そのほかにも多種の細胞死様式が報告されている。かつては,細胞の形質膜の破裂を伴うネクローシスは,アポトーシスと異なり非制御的な細胞死と考えられていたが,昨今の細胞死研究の発展により,ネクローシスのなかにも,パイロプトーシスやネクロプトーシス,そしてフェロトーシスなど,制御されたネクローシスの細胞死様式があることがわかった。これらの細胞死は現在では,制御性のネクローシス(regulated necrosis)とも呼ばれ,制御性細胞死の枠組みの1つとして捉えられている。また,これらの制御性細胞死は,それぞれ異なる機序によって細胞死が発動し,各種の病態または生理的役割にかかわる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.