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第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
アポトーシスと非アポトーシス細胞死
ネトーシスの誘導機構とその感染症における役割
Induction mechanism of netosis and its role in infectious diseases
四元 聡志
1
,
田中 正人
1
Satoshi YOTSUMOTO
1
,
Masato TANAKA
1
1東京薬科大学生命科学部生命医科学科免疫制御学研究室
キーワード:
好中球
,
ネトーシス
,
好中球細胞外トラップ(NETs)
,
新興感染症
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
Keyword:
好中球
,
ネトーシス
,
好中球細胞外トラップ(NETs)
,
新興感染症
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
pp.354-358
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305354
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ネトーシスとよばれる好中球特有の細胞死が報告されてから20年近くが過ぎようとしている.ネトーシスとはプログラムされた細胞死(PCD)の一種であり,好中球特有の現象である.ネトーシスを起こした好中球は,細胞外に好中球細胞外トラップ(NETs)とよばれる網状の構造物を形成する.NETsは好中球自身のクロマチンによって形成され,好中球内顆粒に存在するさまざまな抗菌物質を含み,病原体の捕獲・除去に関与する.NETsが病原体に対する感染防御に重要であるとする一方で,近年,自己免疫疾患,血栓症などの発症や悪化,がんの進展,ウイルス感染症の重症化などの発症や悪化に寄与することが相次いで報告されている.このような背景から現在では,ネトーシス誘導やNET形成を制御することで,さまざまな疾患の治療につなげようとする研究が盛んに行われている.本稿では,最近明らかにされたネトーシス誘導およびNET形成の機構について概説する.また,地球規模で大きな問題となっていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化とNET形成の関係についても最近の知見について触れたい.最後に,ネトーシス誘導およびNET形成を標的とした治療薬の開発についても記述する.
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