Japanese
English
第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
細胞死解析技術とその応用
蛍光タンパク質レポーターを利用した細胞死イメージング
Imaging cell death using genetically-encoded fluorescent reporters
山口 良文
1
Yoshifumi YAMAGUCHI
1
1北海道大学低温科学研究所冬眠代謝生理発達分野
キーワード:
蛍光タンパク質
,
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
,
キナーゼ局在変化レポーター(KTR)
,
アポトーシス
,
パイロトーシス
,
ネクロプトーシス
,
イメージング
Keyword:
蛍光タンパク質
,
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
,
キナーゼ局在変化レポーター(KTR)
,
アポトーシス
,
パイロトーシス
,
ネクロプトーシス
,
イメージング
pp.559-562
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305559
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死細胞は,生体内では貪食細胞や周辺細胞により速やかに除去される.そのため,抗体染色やTUNEL(TdT-mediated dUTP nick end labeling)法など,固定サンプルなどを用いた手法で捉えられる細胞死は,実際に生じる細胞死のごく一部であると考えられる.また細胞は単に死ぬだけでなく,周辺細胞との力学的相互作用,特定のシグナル分子の放出,さらには細胞内成分の大規模な漏出などを介して,周辺細胞に影響を与える.しかし,固定サンプルを用いた観察だけではこうした細胞間相互作用の全貌を捉えることは困難である.細胞死シグナルのリアルタイム可視化は,これらの限界に対して異なる視点からの知見を提供しうる.また細胞死過程では多くの場合,細胞膜の破綻や細胞内pHの変化などが急激に生じるため,単一波長の輝度値の変化を捉えるだけの細胞死検出プローブでは判断を誤る場合もある.そこで異なる2つの蛍光分子間での蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)効率の変化や,単一蛍光分子内または分子間での蛍光波長比率変化を利用した多種多様なプローブが開発されている.これらの活用により,アポトーシス,パイロトーシス,ネクロプトーシスなどの制御された細胞死の過程や,その過程で生じるシグナル伝達のリアルタイム把握が可能となっている.
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