Japanese
English
特集 脂肪移植の新展開――基礎から臨床へ
脂肪組織を用いた放射線皮膚障害の治療
Treatment of radiation-induced skin disorder with adipose tissue
素輪 善弘
1
,
吉村 浩太郎
2
Yoshihiro SOWA
1
,
Kotaro YOSHIMURA
2
1京都大学大学院医学研究科形成外科学
2自治医科大学形成外科
キーワード:
脂肪組織
,
放射線治療
,
放射線組織障害
,
脂肪幹細胞
,
予防医学
Keyword:
脂肪組織
,
放射線治療
,
放射線組織障害
,
脂肪幹細胞
,
予防医学
pp.144-150
発行日 2022年10月8日
Published Date 2022/10/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28302144
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
放射線治療は照射部位の組織治癒能を著しく低下させ,しばしば皮膚および皮下組織において放射線皮膚炎,瘢痕拘縮,リンパ浮腫,難治性潰瘍などの多様な臨床症状をもたらす.理由のひとつは,創傷治癒に深く関与する幹細胞や血管内皮細胞の放射線損傷による機能不全,あるいは枯渇で説明できる.反対に,このことは損傷された細胞を正常化,補充することによって治癒能の回復が期待できることを意味する.近年,脂肪幹細胞あるいはこれを含む脂肪組織由来の治療プロダクトは単離が容易で,抗炎症,抗アポトーシス,血管新生促進作用など複数の利点を有する有望な再生治療として報告されている.また吸引脂肪組織も脂肪幹細胞を含有しており,注入によって組織の病理学的状態を活性化し,創傷治癒能を回復させることが示唆されている.臨床運用上,幹細胞や血管内皮細胞を多く含む脂肪吸引物,またはその他の脂肪組織関連治療プロダクトの有用性は高く,確定的放射線皮膚障害に対する防護剤としての効果も期待される.本稿では,放射線皮膚障害への脂肪幹細胞を含む脂肪組織由来治療プロダクトの有用性と今後の可能性について概説する.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.