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第1土曜特集 間質性肺疾患の研究と診療UPDATE
研究
ヒトiPS細胞由来肺胞オルガノイド技術を基盤とした間質性肺炎への橋渡し研究
Translational research of interstitial pneumonia based on human induced pluripotent stem cells-derived alveolar organoid technology
三河 隆太
1
,
後藤 慎平
1,2
Ryuta MIKAWA
1
,
Shimpei GOTOH
1,2
1京都大学大学院医学研究科呼吸器疾患創薬講座
2京都大学iPS細胞研究所
キーワード:
ヒトiPS細胞
,
疾患モデリング
,
間質性肺炎
,
オルガノイド
,
肺胞上皮細胞
Keyword:
ヒトiPS細胞
,
疾患モデリング
,
間質性肺炎
,
オルガノイド
,
肺胞上皮細胞
pp.35-40
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2830135
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特発性間質性肺炎(IIPs)の多くを占める特発性肺線維症(IPF)は,肺の進行性かつ不可逆的な瘢痕化を特徴とする致死的な加齢に伴う疾患である.IPFの発症機序は完全には解明されておらず,現在の治療法は軽症から中等症の患者の機能低下速度を抑えるものに限られている.このような背景から,これらの患者の生存期間と生活の質を大幅に改善する新たな治療戦略が求められている.したがって,ヒト疾患の主要な特徴を再現する適切な実験モデルの構築や創薬探索におけるスループット性のよい評価系を構築しなければならない.ヒト末梢血由来iPS細胞は,比較的低侵襲に健常人や患者など個人からiPS細胞を樹立できる.近年,これらのiPS細胞は肺の発生学的な視点から肺前駆細胞を介して肺胞や気道上皮細胞に分化することが可能となった.さらに三次元培養法,気液界面培養やorgan-on-a-chip(OOC)といったさまざまな培養法を用いることで,ヒトの生体により近い環境で病態評価ができるようになった.今後,ヒトiPS細胞を主体とした橋渡し研究が発展することで,分子標的の探索や新規治療薬の開発への有用性が期待できる.
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