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第1土曜特集 間質性肺疾患の研究と診療UPDATE
研究
薬剤による間質性肺炎・肺線維症とマイクロRNA
Drug-induced interstitial pneumonia/pulmonary fibrosis and microRNA
高野 幹久
1
,
川見 昌史
1
Mikihisa TAKANO
1
,
Masashi KAWAMI
1
1広島大学大学院医系科学研究科医療薬剤学研究室
キーワード:
薬剤性肺障害
,
肺胞上皮細胞
,
上皮間葉転換(EMT)
,
マイクロRNA(miRNA)
Keyword:
薬剤性肺障害
,
肺胞上皮細胞
,
上皮間葉転換(EMT)
,
マイクロRNA(miRNA)
pp.47-52
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2830147
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肺障害を引き起こす薬剤は抗がん剤,抗リウマチ薬,漢方薬など多岐にわたるが,これら薬剤による肺障害発症の分子機構に関しては不明な点が多い.肺の線維化には肺胞上皮細胞の上皮間葉転換(EMT)が関わっている.すなわち,肺胞上皮細胞がEMTによって筋線維芽細胞に形質転換し,コラーゲンなど過剰な細胞外マトリックスを蓄積することで線維化が進行する.近年,がんをはじめとする各種病態とマイクロRNA(miRNA)との関係について,病態発症の原因としてのmiRNA,診断のバイオマーカーとしてのmiRNA,治療標的としてのmiRNAなど,さまざまな観点から研究が進められている.肺については,特発性肺線維症におけるmiRNAの関与に関する報告がなされているが,薬剤による肺胞上皮細胞のEMT誘発,線維化についてもmiRNAが関与する可能性がみえてきた.こうした研究が進むことで,肺線維症への進行を防ぐことができる新たなmiRNA医薬の開発が期待される.
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