Japanese
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第1土曜特集 間質性肺疾患の研究と診療UPDATE
研究
肺の組織幹細胞から考える肺疾患
Tissue stem cells and respiratory diseases
森本 充
1
Mitsuru MORIMOTO
1
1国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター呼吸器形成研究チーム
キーワード:
組織幹細胞
,
基底細胞
,
クラブ細胞
,
Ⅱ型肺胞上皮(AT2)細胞
,
肺線維症
Keyword:
組織幹細胞
,
基底細胞
,
クラブ細胞
,
Ⅱ型肺胞上皮(AT2)細胞
,
肺線維症
pp.29-34
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2830129
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成人呼吸器の上皮組織は表面積が70m2と広大であり,多様な上皮細胞種と固有の組織構造を示す.複雑な呼吸器上皮組織を支える組織幹細胞もまた多様で複雑であるため解析が難しかったが,最近の先端技術が新事実を明らかにしつつある.気管,気管支では基底細胞とクラブ細胞が組織幹細胞で,気道クリアランスを支える細胞種を供給し,また互いに可塑性を持っている.傷害を受けると,特に基底細胞が迅速に増殖期に入り,自己複製によって傷害部位を覆う.肺胞ではAT2細胞(Ⅱ型肺胞上皮細胞)が組織幹細胞として知られており,自己複製を行うとともにAT1(Ⅰ型肺胞上皮)細胞を供給している.AT2細胞には亜集団が含まれ,特にWntシグナルを活性化しているAT2細胞が損傷再生によく貢献できる.最近,AT2細胞の細胞老化が肺線維症の原因になるという報告が多くでている.AT2細胞がストレス状態にいると線維化誘導因子の発現が上昇する可能性が,特発性肺線維症(IPF)患者組織解析やマウスモデルの研究から示唆されている.
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