Japanese
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連載 バイオインフォマティクスの世界・第18回(最終回)
プレシジョン・メディシンⅡ
-――がんゲノミクスの応用
Precision medicine Ⅱ
――Applications of cancer genomics
凌 一葦
1
Yiwei LING
1
1新潟大学医学部メディカルAIセンター
キーワード:
精密医療
,
がん変異
,
プロテオゲノム
,
腫瘍マイクロバイオーム
,
人工知能(AI)
Keyword:
精密医療
,
がん変異
,
プロテオゲノム
,
腫瘍マイクロバイオーム
,
人工知能(AI)
pp.1017-1022
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu282111017
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SUMMARY
最適な分子標的薬選択により治療を実施することを精密医療とよぶ.ゲノムシークエンス技術の発展から癌の原因である遺伝子変異を網羅的に調べることが可能になったが,遺伝子変異が判明しても治療にまで結びつく割合はいまだに低いままである.より治療到達効果を高めるための方法として,いくつかのマルチオミクス解析手法が精密医療の実施に応用できる可能性がある.分子標的薬の作用ターゲットとして,変異タンパク質の情報が重要である.それに対応するため,遺伝子変異の進化的保存性やタンパク質立体構造への影響予測,ゲノム変異の特徴解析としての変異シグネチャーなどが重要となる.また,変異遺伝子が転写産物やタンパク質の発現へどのように影響を及ぼすかを推定できるのであれば精密医療の実現に多く貢献するはずである.さらに,腸内細菌叢や腫瘍組織に共生する細菌叢と遺伝子変異との関連性や,人間の目では判別できないレベルでの病理画像やCT・MRI画像からの人工知能(AI)の開発等は,精密医療をより高精度に実現するために今後活用される時代になる.
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