増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
脂質・リポ蛋白
総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール
平山 哲
1
,
三井田 孝
2
1順天堂大学医学部臨床検査医学講座
2順天堂大学大学院臨床病態検査医学
pp.262-264
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223275
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検査の概要
総コレステロール(TC)とLDLコレステロール(LDL-C)の上昇,HDLコレステロール(HDL-C)の低下は,動脈硬化性疾患の発症や進展と密接に関係している.よって,これらの検査は,動脈硬化や冠動脈疾患のスクリーニング検査としてだけでなく,病態評価や治療のための臨床検査指標として頻用されている1).
米国のFramingham studyの報告では,TCが180〜200mg/dLの場合に最も総死亡率が低いJ-curve現象を認める.しかし,コレステロール低値の場合には,低栄養や悪性疾患などによる死亡が影響している可能性がある.一方,TCが180mg/dL以上の場合,冠動脈疾患の発症は直線的に増加する.また,LDL-CもTCと同様に冠動脈疾患のリスクと強く関連する.欧米の報告では,LDL-Cが1mg/dL増加すると,一次および二次予防ともに冠動脈疾患の発症リスクが約1〜2%程度増加する.LDL-Cへの介入効果を検討したメタ解析(108のランダム化比較試験による約30万人が対象)では,治療によるLDL-C 10mg/dLの減少は,冠動脈疾患イベント,冠動脈疾患死亡,総死亡の相対リスクを有意に減少させることが明らかになっている2).
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