増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
脂質・リポ蛋白
総コレステロール/エステル型コレステロール/LDLコレステロール
都島 基夫
1
1国立循環器病センター内科(動脈硬化代謝部門)
pp.171-173
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909795
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検査の目的・意義
コレステロールは,リン脂質とともに細胞膜の構造脂質として重要な物質であり,またステロイドホルモンをはじめ,ホルモン産生の原料などとなる.
コレステロールは大部分は肝臓で,一部は腸管,副腎皮質,皮膚,睾丸,大動脈などで合成される.血液中ではリポ蛋白(超低比重:VLDL,中間型:IDL,低比重:LDL)として存在し,全身の細胞に運ばれ,LDL(BE)レセプターから細胞内に取り込まれ利用される.残ったものは,肝臓内にLDL(BE)レセプターを通じて運ばれ代謝される.過剰のコレステロールは血管内皮細胞や細胞間隙を通過して,血管内膜で変性LDL,あるいはレムナント(IDL)としてスカベンジャーレセプターを介して単球由来のマクロファージ内に異物とみなされて取り込まれる.取り込まれた後,コレステロールオレイン酸エステルの液体結晶の形で蓄積して泡沫細胞化し,また一部はコレステロール結晶の形で粥状動脈硬化巣を形成する.このような蓄積したり余剰のリポ蛋白中のコレステロールの一部は高比重リポ蛋白(HDL)に取り込まれて運搬され,最終的には肝臓に運ばれ,胆汁酸などとなって,腸管内に排出される.
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