FORUM グローバルヘルスの現場力
はじめに
神馬 征峰
1
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
pp.781-782
発行日 2022年8月20日
Published Date 2022/8/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28207781
- 有料閲覧
- 文献概要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって,グローバルヘルスは大きな変貌を遂げてきている.グローバルへルスの目的は地球規模での「容認しがたい不公平な健康格差の是正」である.その主たる活動の場はCOVID-19以前,アジア,アフリカなどの資源が乏しい国や地域であった.しかしながらCOVID-19はイタリア,英国,米国など多くの富める国で広がり,結果として,ワクチン確保のための自国民優先主義,すなわちワクチン・ナショナリズムがはびこるようになった.2021年末,高所得国では平均して83%の対象人口がすくなくとも1回のワクチン接種を受けていた.それに対し,低所得国では21%にとどまっている.COVID-19はこうして「容認しがたい不公平な健康格差」を地球規模で広げている.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.