結核対策 -――世界戦略構築への現場からの発信

　30年余りアジア・アフリカの結核高まん延国の第一線から世界保健機関（WHO）本部までさまざまな場で活動してきた経験から，グローバルヘルスの現場力を論じる．現場力の基本は，国際保健の第一線の限られた資源で結果を出す力であり，世界の人々の健康は，数多くの現場力のあるヘルスワーカーたちによって支えられている．保健医療サービスにより多くの住民が届くようにするには多くの力，特に継続する力が必要である．しかし，同時に，現場の実態・現実を適切に把握し，それを国の政策あるいは世界戦略の策定レベルに届かせる力，現場と政策レベル中枢のブリッジを担う役割が機能しないと，グローバルヘルスの現場のニーズに基づく適切な戦略が生まれず，拡がりを持った結果はついてこない．