連載 人工臓器の最前線・vol.4
小児に対する補助人工心臓
上野 高義
1
Takayoshi UENO
1
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻看護実践開発科学講座
キーワード:
小児
,
重症心不全治療
,
補助人工心臓
Keyword:
小児
,
重症心不全治療
,
補助人工心臓
pp.775-780
発行日 2022年8月20日
Published Date 2022/8/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28207775
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□小児心臓移植がわが国でも行われはじめ,小児重症心不全治療のなかで小児補助人工心臓(VAD)の担う役割は,今後ますます重要になると考えられる.小児も成人と同様,移植適応判定を行うまでのtemporary VADと,心臓移植を目指し長期的に補助を行うdurable VADが用いられている.体格の小さい乳幼児の循環破綻の際にはデバイスの選択肢が少なく,temporary VADの必要性が高くなるが,移植適応外ではdurable VADへの移行ができないため,その導入には慎重を期す必要がある.
□現在,乳幼児に使用できるdurable VADはBerlin Heart EXCOR®(空気駆動体外設置型拍動流VAD)のみであるが,その使用経験が蓄積され始めている.体格に応じて植込型機器の使用も増加しており,通学しながら移植待機する症例も増えている.VADを用いた小児心不全治療は,今後急性増悪期の離脱を目指した一時的補助,再生医療とのコラボレーション,さらにはdestination therapyを踏まえた治療など,さまざまな分野へ展開する可能性を秘めていると考えられ,今後の発展が期待される.
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