Japanese
English
第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
慢性炎症におけるオステオポンチンの役割
The role of osteopontin in chronic inflammation
佐野 元昭
1
,
白川 公亮
1
Motoaki SANO
1
,
Kosuke SHIRAKAWA
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
キーワード:
心筋梗塞
,
心不全
,
動脈硬化
,
免疫老化
,
糖尿病性腎臓病
,
SGLT2阻害薬
,
肥満
Keyword:
心筋梗塞
,
心不全
,
動脈硬化
,
免疫老化
,
糖尿病性腎臓病
,
SGLT2阻害薬
,
肥満
pp.100-104
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28201100
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二次予防の進歩により,心血管疾患(CVD)の予後は大きく改善されてきたが,CVDは依然として世界的に主要な死亡原因となっている.数多くの研究により,炎症がCVDの残存リスクだけでなく次の治療ターゲットとしても注目されている.実際に,完全ヒト型抗IL-1βモノクローナル抗体であるカナキヌマブを用いたCANTOS試験では,CVD患者に対する抗炎症療法の有効性が証明された.細胞外マトリックス(ECM)に存在してダイナミックに発現を変化させる非構造タンパク質であるオステオポンチン(OPN)は,多様な生物学的機能を媒介し,CVDの多くの病的状態に関与している.急性炎症においては創傷治癒,組織修復といった保護的な役割を果たす一方,炎症を慢性化させる起点となり,臓器のリモデリングを加速させ,重大な心血管系有害事象(MACE)を増やすといった有害な面を有する.本稿では,CVDの発症に寄与するOPNの作用機序と治療標的としてOPNの可能性について議論する.
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