Japanese
English
第5土曜特集 糖尿病治療・研究の最前線2021
基礎研究
【トピック】
SGLT2阻害薬の登場により見えてきたケトン体の功罪
Ketone body metabolism in diabetes care
――lessons learned from SGLT2 inhibitors
久米 真司
1
,
富田 一聖
1
,
前川 聡
1
Shinji KUME
1
,
Issei TOMITA
1
,
Hiroshi MAEGAWA
1
1滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科
キーワード:
糖尿病性腎臓病
,
慢性腎臓病
,
ケトン体
,
SGLT2阻害薬
Keyword:
糖尿病性腎臓病
,
慢性腎臓病
,
ケトン体
,
SGLT2阻害薬
pp.439-442
発行日 2021年1月30日
Published Date 2021/1/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27605439
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
ケトン体は糖尿病に伴うケトアシドーシスの原因となることから,この物質には健康に対する強い負のイメージが根付いている.しかし,ケトン体は元来,飢餓にさらされてきた生物にとって絶食中の重要なエネルギー源であり,ケトン体産生は重要な進化のひとつであったと考えられる.近年,健康長寿をめざした研究が進められるなか,ケトン体による臓器保護効果の報告は相次ぎ,ケトン体の秘めたる役割に脚光が寄せられつつある.筆者らも,①ケトン体が糖尿病性腎臓病に対して保護効果を発揮すること,②このケトン体による臓器保護効果がSGLT2阻害薬による腎保護に重要な役割を果たすこと,を明らかにした.SGLT2阻害薬の登場により,ケトアシドーシスというケトン体の “陰の側面” が問題視される一方で,われわれの予期しなかったケトン体による臓器保護効果という “陽の側面” も明らかとなってきている.ここでは,SGLT2阻害薬の登場により明らかになりつつあるケトン体の功罪について概説する.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.