講座
モザイク(1)―モザイク工作の一般的特性
山口 鞆音
1
1九州労災病院
pp.273-276
発行日 1971年8月9日
Published Date 1971/8/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100454
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モザイクを作業療法に応用する意義
‘ものを作る’ということは,人間本来の喜びであろう.だれもが幼いころから,あるときはひとりで思いついたり,また,模倣したりしながら,作ることの喜びを体験してきたものと思う.最近では,男の子どもたちのほとんどがプラモデルを好み,‘作る楽しさ’は,意識の集中力の乏しい子どもたちでさえも,熱中させる力をもっている.
作業療法の一治療手段として,手工芸が取り入入れられているのは,‘作品を作り出す’という基本的な喜びを与えながら,他方では,製作工程のなかで必然的に要求される身体的・精神的な活動を,いろいろな障害の要素に対して,治療的に取り入れ,応用しようとするものである.手工芸の一種であるモザイクを,単なる工作の段階にとどめず,治療の手段とするためには,作品を作ることだけにとどまらず,製作工程の全般にわたって,精神的・身体的な面から動作の分析を行ない,障害の種類や程度などに適応した,効果的な応用ができるように心がけることが,たいせつである.
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