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特集 体細胞モザイク――後天的ゲノム変化がもたらす未来
知っておきたい血液中の体細胞における常染色体由来のモザイク
Basics about autosomal mosaic chromosomal alteration in blood
曳野 圭子
1
Keiko HIKINO
1
1理化学研究所生命医科学研究センターファーマコゲノミクス研究チーム
キーワード:
体細胞
,
染色体モザイク
,
クローン性造血(CH)
Keyword:
体細胞
,
染色体モザイク
,
クローン性造血(CH)
pp.1192-1197
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281131192
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クローン性造血(CH)の遺伝的特徴の解明は,バイオバンクレベルの大規模コホートにおけるDNAマイクロアレイのデータを用いて血中の体細胞の染色体モザイクの出現を高感度に同定する手法が開発されたこともあり,ここ数年で急速に進んでいる.血中の体細胞の常染色体モザイクは,健康な人でも加齢によって全員が有するものではあるが,なかには造血系悪性腫瘍に進行したり,心血管系疾患による死亡率の上昇にもつながったりすることがわかってきた.しかし血液細胞が常染色体モザイクを有することで,実際に誰が悪性腫瘍や心血管系疾患に進展するか正確に予測すること,病気への進展の予防法の確立,そして微細な染色体変化まで正確かつ低コストで同定する方法など,改善点はあげられる.より多くの患者を対象にひとつずつ課題を解決していくことで,将来的に確実な生命予後の改善につながっていくものと考えている.
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